万年筆

「私の万年筆の使い方3パターン:家・職場・外出先で変わる最適な一本」

皆様どうも、きほーてです。

今回は、私の万年筆の使い方についてお話ししていきたいと思います。万年筆というと、「一本を大切に育てていく」というイメージが強いかもしれませんが、私は場所や状況によって使い分けています。家、職場、外出先。それぞれで求める書き心地やスピード、気持ちのノリ方が違うため、自然と選ぶ万年筆にも違いが生まれてきました。今回は、そんな「私の使い分け」をお伝えしていきます。これから万年筆を始める方、複数本持っているけれど活かしきれていない方のヒントになれば嬉しいです。


家で使う万年筆:ゆっくりと贅沢な時間の相棒

家ではモンブラン マイスターシュテュック149をメインに使っています。149は、私にとって特別な一本です。あまり外に持ち歩くことはありませんが、落ち着いた空間で向き合いたい万年筆。まさに「家専用の贅沢道具」といった感じです。

イスに座り、音楽を流しながらゆっくり考え事をして文字を書いていると、この149と過ごす時間がとても豊かに感じられます。ペン先から生まれる線は太くはっきりしていて、しっかり紙に定着していくような感覚があります。家で文章を考えるとき、未来のアイデアを整理したいとき、ふと湧いてきた気持ちを書き残したいとき、こういったゆっくり向き合う時間に149は本当にぴったりなんです。

そして、サッと一言だけ書きたい時には、キャップを外さずに書けるキャップレス木軸を使います。思い付いた瞬間に書ける気軽さは日常生活でも強い味方。ほんの1行、短いメモだけで完結することが多い「家庭内でのメモ書き」には木軸キャップレスがとても合っているのです。家ではこの2本体制が、自分の生活スタイルに自然に馴染んでいます。


職場で使う万年筆:スピード最優先と実用性の中で選ぶ3本

職場では、キャップレスデシモ(EF)をもっとも多く使っています。私の仕事の特性上、細かい文字記入や訂正、欄内の小さなスペースへの記入が非常に多いんですね。そうなると、字幅の細いEFの強みが最大限発揮されます。キャップを外す動作がなく即書ける「ノック式」であることが、仕事中の微妙なストレスを確実に減らしてくれます。

さらに、業務には“リズム”があります。電話応対をして、戻ってすぐ書いて、他部署からの問い合わせを書き留めて、また書類へ戻る…。一日の中で筆記→処理→筆記→処理を繰り返す、このテンポの中で、キャップの開閉があるなしは本当に響くんです。「書くための準備が不要」というのは、仕事道具としての重大な強みだと実感しています。

ただ、EFでは少し細すぎて抑揚をつけたい場面もあります。そんな時に使うのがキャップレス木軸(F)。同じキャップレスでも、一本だけ字幅が違うだけで気分転換にもなります。

そして、仕事前や昼休みにはカスタム823(F)が活躍します。この万年筆はインク容量が圧倒的で、インク補充という手間の頻度が極端に減ります。職場の昼休みはとても貴重な時間。落ち着いた時間の中で「書いているだけでリセットされる」ような時間を作れます。多く書く時間に823が最高というのは、そこにあります。

補足ですが、どうしてもボールペンでなければいけない場面では多色ボールペンを使います。また、少し大事な書類の記載などではノック式ではないしっかりしたボールペンを使っています。職場では、用途によって書く道具をしっかり使い分けることが、効率の良い仕事へと繋がっているのです。


外出先で使う万年筆:軽快さと「機動力」のバランス

外出先で一番使うのも、カスタム823です。149ほど高級ではないとは言え、決して安いものではありませんが、「外に持って行けるギリギリの高級感と安心感」のバランスが絶妙。とりあえずこれ一本持って行けば、どんな場面でもしっかり書けるという安心感があります。

また、外出先ではキャップレス木軸またはキャップレスデシモのどちらかを胸ポケットに忍ばせています。外でこそ、思いついた瞬間を書くということが重要。アイデアは一瞬で消えてしまうものなので、「瞬時に書ける仕組み」を作るためにキャップレスは欠かせない存在です。


インクは「極黒」一本主義

私はインクはセーラー万年筆の「極黒」以外は使っていません。カスタム823や149はボトルから吸入し、キャップレスシリーズはパイロット純正カートリッジの中身を極黒に差し替えて使っています。インクを一本化していることで、ノートを読み返すときにも視認性がよく、どの万年筆で書いたものでも頭に入りやすいです。「どの色にしよう?」と選ぶ時間を削れることも非常に快適です。


私の持ち歩きセット

外出時は約10本入る筆箱を使っています。整然と並べて収納できるタイプのものです。基本構成はカスタム823、キャップレス木軸、シャープペンシル(野原工芸)、多色ボールペン(サラサ3Cなど)、フリクション多色ペン、単色ボールペン(パイロット ライズ)を入れています。その他、その時期に使いたい万年筆があれば、それを追加で入れて持ち歩きます。

外出先では、手帳やノートに書く機会が多いため、こういった実用的な持ち運びセットが私にとっては理想的な組み合わせです。


万年筆は一本でも十分楽しめる筆記具ですが、複数本を持っていると「場所による最適解」が生まれてきます。家でゆっくり向き合う書き時間、仕事の中での高速筆記、外出先でアイデアを逃さないための一本。それぞれの場面で最適な万年筆が存在するからこそ、私はこの使い分けがとても気に入っています。この使い分けをしてから、筆記が生活の中でより自然な行為になりました。「書く時間」を設けるのではなく、毎日の流れの中に筆記が溶け込んでいく感覚があるのです。

それでは今回はこの辺で~