万年筆

万年筆は3本までに絞るべき理由|たくさん持って気づいた育たない現実

皆様どうも、きほーてです。

万年筆をたくさん持つことに、ずっと憧れていました。

美しい軸に心惹かれ、限定モデルや珍しいペン先に出会うたび、つい手を伸ばしてきました。インクもそれに合わせて色とりどりに揃え、気がつけば机の上は万年筆の花畑のような状態に。毎日、どれを使おうかと迷う時間も、それ自体が幸せだったのです。

でも、ふと気づいたことがあります。

これだけたくさんの万年筆を持っているのに、「これは育ったな」と心から思える一本が、ほとんど存在しないということ。

今回は、たくさん万年筆を持ち、実際に書き続けてきた私だからこそ辿り着いた結論――『普段使う万年筆は多くても3本までに絞った方がいい』という理由について、正直にお話ししていきたいと思います。


なぜたくさん使っても育たないのか

万年筆には”育つ”という魅力があります。

ペン先が自分の筆圧や癖になじみ、買ったときよりもどんどん滑らかに、心地よく変化していく。この”育てる楽しみ”こそが、万年筆ならではの醍醐味だと私は思っています。

けれど、多くの万年筆を並行して使うと、一つひとつの使用頻度がどうしても下がってしまいます。たった数文字書いて、次の日には別の万年筆へ。そうやって書き手の癖が定着する前に、また違うペンを手に取る。その繰り返しでは、万年筆も育ちきれないのです。

もちろん、買った当初より多少は書きやすくなったと感じる万年筆もありました。でも、”これぞ自分だけの一本だ”と胸を張って言えるほど育った万年筆は、ほとんどありませんでした。


実体験から分かった「3本まで」の理由

私が持っている万年筆の中で、いま最も書き味が気に入っているのは、調整して購入してからまだ1年半ほどのモンブラン マイスターシュテュック149です。

本来なら、何年もかけて育てた一本があるべきなのに、意図的に育てたわけでもない、比較的最近手に入れた万年筆が一番書きやすい。

この現実に、正直ショックを受けました。

なぜこんなことが起こったのか。それは、数を絞って使うようになったからです。

モンブラン149を購入してから、自然と持ち歩く万年筆を2〜3本に絞り、日常的に使い込むようになりました。気がつけば、ペン先が手に吸い付くようになり、インクフローも絶妙なバランスに育っていました。

毎日たくさん文字を書くわけではなくても、”常に使っている”というリズムが、万年筆を育てるためには何より大切なのだと実感した瞬間でした。


私の万年筆3本体制について

いま、私が普段使いしている万年筆は次の3本です。

  • 日常使い用(仕事・外出用):小ぶりで携帯性が高く、外出先でもサッと取り出して使える一本。
  • 細かい文字用:国産のEF(極細)ニブを備えた、細かな書き込みに最適な一本。
  • ここぞというとき用:特別な場面で気持ちを高めるために使う、モンブラン マイスターシュテュック149。

この3本に絞ったことで、それぞれの役割が明確になり、日常の中で自然に使い込むことができるようになりました。

結果、それぞれの万年筆が確実に育ち、書き味に深みが増してきています。


たくさん持つことの落とし穴

万年筆が増えれば増えるほど、こんな悩みが出てきました。

  • どれにインクを入れるか迷う
  • 使わないうちにインクが乾く
  • ペン先が詰まって洗浄の手間が増える
  • 気に入ったインクをもっと味わいたいのに、すぐ別の色を試したくなる

結局、せっかくの一本一本が”消化試合”のようになってしまうのです。せっかく素晴らしいポテンシャルを秘めた万年筆を手にしているのに、自分自身がそれを引き出すチャンスを奪ってしまっていたのだと、今になって痛感しています。


これから万年筆を楽しむために

もしこれから万年筆を本当に楽しみたいなら。

私は迷わず、こうアドバイスします。

**「普段使う万年筆は3本までに絞ろう」**と。

役割分担がはっきりしていれば、すべての万年筆をしっかり使い込み、それぞれを丁寧に育てることができます。

育った万年筆の書き味は、買ったときとはまったく違います。

自分だけの書き癖が染み込んだ、世界に一つだけの筆記具。

それは、お金では買えない、時間をかけたからこそ得られる特別なものです。


まとめ

万年筆をたくさん持つ楽しさも、確かにあります。

美しいデザイン、さまざまなインク、コレクション欲を満たす喜び。

でも、本当に万年筆を育てたいなら――数を絞る勇気を持つこと。

これが、私がたどり着いた結論です。

これからもきっと、新しい万年筆に心惹かれることはあるでしょう。

でも、手元にいる”育てたい万年筆たち”を、大切に使い続けていきたい。

そう思っています。

あなたにも、ぜひ、自分だけの育った万年筆との出会いを楽しんでほしい。

そんな気持ちを込めて、この記事を締めくくります。